リツエアクベバ

satomies’s diary

迷子の大人たち

 携帯の待ち受け画像を変えた。自分、バカじゃないかとちょっと思う。
 立ち寄ったビルのCDショップの入り口に大々的なコーナーができてた。ニューアルバムのプロモーションビデオを中央で流し、周囲にアルバムジャケットの拡大画像を並べ、そしてその中央にオリジナルのオブジェをぶち立ててた。モニターの上部にはクリスマスで使うような綿がディスプレイされ、それは「星の鳥」の落とす綿毛のように見え、とてもきれいだった。
 バカじゃないか恥ずかしい、と思いながら、携帯で写真を撮った。小さなディスプレイに捕らえた時、画面がこんな風になった。偶然になんかわかりやすい写真になった。そんな写真を撮った自分にテレながら、でも大事な写真になった。
 おとといBUMPと入れ、ニューアルバムの名前を入れたら、編集画面にはてなキーワードからのリンクがどばっと来た。そのリンクをさかのぼる。興味深い文章を見つける。

orbital period/BUMP OF CHICKEN /日々、ことのはを綴る。@はてな
最近のBUMPを聴いていて思うのは、彼らがもう切ないばかりに稚さを叫ぶ若者ではなくて、28歳の大人なんだ、ということ。

 日頃思っていたことをぴたっと表現してくれていて、うんうんとうなづく。
 10代のファンが多い、と。オリコンの調査では10代の男の子の「好きなアーティスト」のトップだったそうで。

06'好きなアーティストランキング『音楽ファン2万人に聞いた好きなアーティストとは?!』-ORICON STYLE ミュージック

 2006年は11月に「涙のふるさと」が出ただけで、アルバムとしては狭間の時期。そこで「好きなアーティストの一位」というのは、古いアルバムを聴いていたということなんじゃないかと思う。

 けれど『ユグドラシル』以後くらいからかな、そこから脱皮していっているような気がして。それをすごく感じたのは先日の『花の名』『メーデー』だったのだけれど。聴いた瞬間、あぁ、彼らは乗り超えてしまったんだなぁ、と思った。
orbital period/BUMP OF CHICKEN /日々、ことのはを綴る。@はてな

 わたしは。「涙のふるさと」の時に(ああ…)と思った。(もう戻らない)と思った。がっちゃがちゃと迷子状態の中心から叫ぶようなものはもう出ないのだろうな、と思った。正直に言えば淋しかった。わたしは↓のエントリであげたあたりの曲が好きだと思う。

2007-10-23 さ〜てBUMPだ。

 「orbital period」というアルバムタイトルは、天文学の「公転周期」から来ているそうで。

公転周期(こうてんしゅうき、orbital period)とはある天体(母天体)の周囲を公転する天体が母天体を1公転するのに要する時間のこと。日本語では軌道周期とも呼ばれる。
公転周期 - Wikipedia

 この一周に28年。メンバー全員が28歳ということで「orbital period」なんだそうだが。一周したということは、また次の一周が始まるということで。まあわたしは次の一周の後半に入ってるということなわけだ。
 一周で28年。でもさ、次の28年でも「迷子」は来るよ。最初の28年のときに出てくる「迷子」よりやっかいだと思う。最初の28年の時期よりもそれぞれに抱えるものは千差万別で、叫ぶにも騒ぐにも変な分別を身につけてしまっている。大人として抱えていかなければならないものも増えていて、叫ぶより考えることと前進を要求される。
 BUMPの「迷子の大騒ぎ」を聴いていると、それをよく思う。そして存在自身に迷子になったような思春期も思い、ここまで来た自分を思う。そしてその自分を抱えて考えたりもする。
 「涙のふるさと」を聴いたときに(ああ…)と思った。もう戻らないのか、と思った。「花の名」は優しい。「メーデー」も優しい。でもやっぱり欲しかったもの、見たかったもの。それが「orbital period」を聴いたとき、あはは、と思った。いやいやまだまだ、と思った。こういう風に来たか、と思った。
 わかったよ。「迷子の大騒ぎ」ではないけれど、こういう風に行き着いたのか、と思った。この変化を成長と呼ぶのならついていきたいなと思った。
 ってことで、すでにYouTubeに上がってるものを一曲。「じぶん」って発音の仕方が好きだな、と思う。メロディラインも好きだけどね。