リツエアクベバ

satomies’s diary

ダウン症関連話題ってヤツ

某所で再び盛り上がってる話題を見て思ったこと(一部偏見あり)/kmizusawaの日記
・健常者には個性があるが、知的障害者には「知的障害者」という個性しかないと思われてるのかもしれない。

 すっごいいっぱい濃いこと書いてらっしゃるのにたった1個だけ取り出して申し訳ないんだけど。
 わ〜いわ〜いわ〜い。そうだそうだそうだ。
 で、そうだそうだそうだそうだ、と思うことダウン症話題。

「ダウンちゃん」という呼称

 この呼称を歓迎する親がいるのは知っている。知ってはいるがわたしはこの呼称、大嫌い。差別用語だなんだとしちめんどくさいことを言う気は無い。でもわたしは嫌いだ。
 理由としては、ペットみたいで感覚的に気味が悪い。「ダウンちゃん」と言われると、「ダウンちゃんではなくちぃちゃんですから」と言いたくなる。ひとくくりにして没個性化させるような感じが嫌い。
 もっと論理的にこの「ダウンちゃん」やめようを言ってらっしゃる方もいて、その理由は↓で記述されている。

『ダウン症児』を『ダウンちゃん』と呼ぶのはやめましょう!/ダウン症のページ by 玄パパ

 わたしは、まあ、呼ぶ人はいてもいいんじゃないの、歓迎する人もいるんだから路線。ただ、ダウンちゃんと言ってりゃ親は喜ぶみたいな勝手な決めつけはイヤだと思う。友好的な笑顔が逆に抗いにくい雰囲気を作り出し、思いっきり居心地の悪さを感じつつ曖昧に微笑み返す。このげんなりを相手に伝えるには相当の信頼関係が必要になるようにも思ってしまう。たいしてつき合いの無い人から当然かのような友好カードとして使われるのは困惑する。「ダウン症児の親」とひとくくりにできる個性なんてものは無いんだよ。勝手に決めるな、わたしはわたしだ。

ダウン症は頑固だ説

 娘が生後10ヶ月の赤ん坊のときに療育の場で。首が座って間もなく寝返りがどっこいしょ的な状態の頃。ごく普通の発達の赤ん坊でいくと5ヶ月程度でしょうかねえ。
 その赤ん坊がちょこっとした働きかけにNO的なリアクションをしたとき。言われてびっくり「ダウンちゃんは頑固ですからねえ」と。
 な、な、なんですと?なに言ってんの?この子まだこんなもんですぜ。こんな時期にこの程度の反応で頑固ってなに?こんなもんですぜのときに「ダウン症イコール頑固である」と親に言ってどうすんの?この子の個性っつ〜のはどうなるんですかね。個性なんぞがこれから出ていくときに、頑固発見の指標なんて親に授けてどうすんですか?
 この日から「ダウン症性格特性頑固説」に疑問をもつようになった。最初から頑固なんて言葉をあてはめて自分の行動見られたら、そりゃ頑固にもなるだろうよ、と。そして疑問を持ちながらダウン症の子どもたちを見ていく中で、出てきた結論はこれに近い。

ダウン症の人の特徴の代表的なものの一つとして“頑固”と言う性格特性が上げられます。結論から言えば私は“頑固“という性格はつくられたものだと思いますし、我々周りの者の都合に対して作られた言葉であると思います。
彼らはとても身体的に脆弱である為に、自分を外界の刺激からまもる術をもっているのです。いきなり刺激を受け入れてしまうのではなく、まずその刺激を理解し、自分にプラスのものなのかマイナスのものなのかを選別し、自分の中に受け入れる準備状態を作ってから初めて行動に移すのです。この一つ一つの過程にゆっくりとした時間が必要です。まだ納得のいかない時に結論を促されると、”ノー“と言う行動が出て、これが”頑固”と評価されてしまいます。
静岡ダウン症児の将来を考える会「どうして私は此処にいるの?Ⅱ」2002.6.30 総会第二部 座談会

 これはわかる、非常にわかる。そして上記の理由に加えて。やりたいことをやらせてもらえないときにも、頑として聞き分けが悪くなる子というのがダウン症の子どもの中にはいる。相手を信頼できないというサインとしての行動の子もいるし、関係性の取り方に混乱をもっている場合も頑なになる場合があると思う。
 前者の場合は、能力不足により取り上げられてしまったことに対して手渡すことで解決することは多い。ただ手渡すのではなく、「これはとても大事な仕事であなたにしかできない頼めない。だからゆっくりやってみようか」などと相手を認める言葉を加えると、びっくりするほど素直になる場合ということはあるとも思う。その頼み方のようなものは基本線はそんなものだけれど、その基本線の渡し方は相手によって全然違うようにも思う。つまりそこにあるのはその子の個性だとも思う。後者の場合は、ダウン症児とそのパターンになっている相手というものがあって、それこそ両者の個性は大きく左右するんじゃないのかな、と。
 つまり。言語能力を主とした「うまく伝えられない」気持ちが行動を頑なにするのではないのかと。表出言語に比べて理解言語が多いとされるダウン症の知的傾向と、知的能力の割には生活レベルの文脈を理解する力がある場合が多いといった、ダウン症のもつその知的障害の特質からくる行動傾向のひとつとしては「態度が頑なになる」ことはあるんじゃないかとも思う。情報として入るものはあるが、表出に関しての技術の稚拙さが関係してしまうってことのようにも思うんだな、と。
 しかしそれをイコール性格傾向として「頑固」とするのは非常に疑問だということ。行動傾向としてみられるものは、関わる方のヒントにするべきもので、また全てのダウン症児・者に「頑なになること」が見られるわけでもない。本人のもつ知的能力を駆使して、独自の切り抜け方をする個性をもつ人も、ダウン症候群という診断を受けた人の中には存在しているよとも思う。
 まあ簡単に言ってしまえば。ダウン症候群というあるひとつの症候群において、特徴的な身体的知的能力がその行動に及ぼす傾向というもの。それを個人の中に見ることはできるが、その特徴をもって個人を見ることはできない、という結論。みんな同じじゃないんだよ。

ノックアウト

 「ダウンちゃんは頑固ちゃん」