リツエアクベバ

satomies’s diary

離任式

 娘を連れて行く。娘を知っている教員が走り寄ってくる、「ちぃちゃん、ちぃちゃん」とうれしそうに連呼。
 こういう時の娘の常、はしゃぐ姿なんてものを絶対に見せない、チラ見。そしてこういう感じで言ってくれる人がいないと、妙に「おかしいわねえ」みたいな顔をする。とことんスター意識の強いヤツだ。
 卒業してもう2年、残念ながらアンタを知ってる先生はかなり減ったんだよ、なんて思うけれど、結局こうやって「走り寄ってくる」先生は多いんだから、まあ、スター意識なんてのもできるだろ。
 いつもいつも思うが、コイツは本当にトクなヤツ。いつだって威張ってるのに、どこに行っても絶対に好かれる。絶妙なポイントで笑い、絶妙なポイントでオイシイことをやり、絶妙なポイントで人を惹きつける行動を取る。
 離任式の先生のスピーチ、毎度毎度、絶対に誰かがこの学校の校歌の話をする。一度の離任式に数回校歌の話が出ることもある。この小学校の校歌の歌詞はとても、いい。
 校歌ってのはたいがい、「♪なんとかかんとか○○小学校〜」とか、「♪ああだこうだ○○中学校〜」、と学校礼賛歌詞。でもこの小学校の歌詞は違う。「大空を希望の翼広げ」「○○小学生、あした羽ばたく」。学校礼賛ではなく、歌詞の主体は小学生、つまり子どもが主人公の校歌。そして曲もいい。
 離任式の最後のプログラム、校歌斉唱。わたしもこの校歌大好き。すっかりわたしも覚えているこの歌詞、歌いながらなんだか急に卒業当時の感慨を思い出す。娘を連れて入学した、そうわたしも入学したようなものだったあの6年間、学校の中にも思い出は多く、親しい先生も多かった。
 離任式終了、いろいろな先生に声をかけられる「ちぃちゃん、校歌歌ってたねえ」。はい、歌ってました、つか、みんな何気なくチェックしてるし。スター気取りになるはずだよなあ。
 午後、息子が学校の話なんぞをする。新しい担任の先生の話が多い、人気があるらしい。「学校が楽しくなりそうだ」と言う、それは良かった。新しい担任の先生の話が出たのでついでに言う、「○○先生、今日、ちぃちゃんとこ走ってきたよ」
「ふうん、なんで?」
「あ、○○先生、ちぃちゃんのこと、すごくかわいがってたんだよ」
「ふうん、知らなかった」
 なんだかおもしろくなさそうな顔をする、ヤバっ、言わなきゃ良かった。息子にとって不可侵領域だと思っていたとこに、また姉が入ってるのか、という顔。後悔先に立たず、ゴメン。