リツエアクベバ

satomies’s diary

おばあちゃんへのお手紙

 

おばあちゃんへ
 おばあちゃんは天国に行きましたか。
 ぼくたちはさみしいです。けど
 今までありがとうございました。
 さようなら。

 国語が苦手で苦手で、作文などというと真剣に苦労する息子。夏休みの宿題の読書感想文なんぞは苦行のような状態の息子。算数は得意でも、文章題となると途端に緊張してまごついてしまう息子。これだけ書ければ充分だよ、と思う。最期のときに、はらはらはらはらと涙をこぼし、小さなタオルのハンカチがぐしょぐしょになった息子の中で、現実がゆっくりと現実になっているのかもしれない。「けど」が、いいなあと思う。
 娘は稚拙な文字で「おばあちゃん」とだけ書き、名前を書く。知的障害児の教科教育の必要性、文字を覚えることは手紙を書くことができるということで、知的障害児に教科教育を行うことは「生きることを教えることだ」という茂木俊彦氏の言葉を思い出す。
 まさにそうだ、と思う。娘がこれを書けたのは、教育の力だと思う。そして娘が今まで書いた手紙の中で、今回が一番、書けるということの貴重さを感じたように思う。
 ほとんど言葉を持たない子どもに文字を教え始めた小学校の障害児学級の担任、その指導法に感嘆したことを思い出す。あの日の出発と積み重ねがあったからこそ、祖母を送る手紙が書ける。知的障害児の、特に重度の知的障害をもつ子どもに対する教育に関して、落ち着いたらgooで記事上げしたい。